「私は一流新聞の犬記者(ドッグ・レポーター) マコ ロバート・ワイマントを読んで

この本は、かなり前に手に取りましたが、なかなか読まないものです。

この本は、1999年の22年も前の本ですが、今と同じような感じです。
今、読むべきものだったんだなと思いました。

マコ(犬)記者と助手 ロバート・ワイマント(イギリス人)のてイギリスの「ザ・タイムズ」に掲載するためのマコ・キャリアー(車)に乗って高円宮(たかまどのみや)妃殿下への取材や日本状況を取材についてまとめた本になります。

dog」を英和で引くと

dog」を英和で引くとロクな表現しかないそうです。

  • Dog’s death::犬死に
  • Dog’s life:みじめな生活
  • Go to the dogs:落ちぶれる
  • Doggish:卑劣な

犬の言葉がネガティブな言葉が多いのはなんでなんでしょうか?
いつか調べてみたいです。

 

中学生の暴力

中学生の先生が、13歳の少年に殺されたという事件について
こういう少年は、殺人を起こす前に、悪事を働いています。

猫や鳥を殺していた。

日本は、イギリスやアメリカよりも、子供が動物をいじめることについて、はるかに寛容。

2021年の今も動物は、器物扱い。
ペットの場合は、動物愛護法が適用されますが、野生動物、野良犬、野良猫は適用されません。

この本の総理府に訪ねたことも書かれています。

「マコ、犬は一票を持っていないんだよ。この国の政治家は、金にしか興味がないんだ。犬はお金を持っていないからね。だから政府のなかで、だれも君(犬)のような者のことを思う人がいないんだ」[本文引用]

 

高円宮妃殿下と愛犬「ダフィ」のインタビュー

初仕事は、高円宮(たかまどのみや)妃殿下と愛犬「ダフィ」のインタビュー

ダフィの母親は、ハスキー犬の雑種で、神戸の大震災後に街をうろついている間に妊娠し時の子犬。

殿下と妃殿下は雑種がお好きなようです。
インタビューのテーマは「皇室」だったのに、犬の話しかしなかったようです。

 

狸のドージィ

マコが伊豆の家の庭で出会った狸とのエピソードが印象的だったので、抜粋して書きます。

昔は、このあたりは眠っているように静かだった。平和そのものだった。

海沿いに道路をつくってから、暗い時代がはじまった。
森のなかの狩り場もなくなった。
車によって仲間が奪われた。

観光客が来るようになり、いっそう静けさがなくなった。
車の窓から弁当の箱やあき缶、灰皿の中身を投げ捨てる。

人間は本性が汚いんだよ。美しい森や丘があったら、そこに広告板や道路標識を立てなければ気がすまない。清い水流があったら、コンクリートで岸を埋めて、植物を押し潰す。海全部をゴミ箱として使うだ。

この地上に生きている生き物のなかで、人間がもっとも醜悪な習性を持っている。
これほど、周囲を破壊する生き物もいない。海を略奪し、陸地に毒をまく。

美味しそうな野菜を見つけてたとしても、今のものはひどい悪臭を放っている。[本文抜粋]

狸にとって人間が犯す世界は住みにくいものですよね。
今は、もっと住みにくくなっていますよね。

 

動物保護相談センターのウソを暴く

動物福祉の実態について取材するため。

日本では、年間に40万匹前後の犬と、30万匹以上の猫が、殺処分されている。
この頃に比べてかなり少なくなってきています。

2019年度の殺処分は前年の3.8万匹から3.3万匹まで減少。

犬の殺処分が5,635 匹、猫の殺処分2.7万匹。

犬・猫の引取り及び処分の状況

ただ、殺処分されていないだけで捨てられている犬、猫は相変わらず多いです。

この本でロバートがこう書いています。
「日本人は人間にとっては、安全な国だよ。
たしかに、アメリカやイギリスよりも殺人件数が少ない。
でも犬が1匹で歩いていると捕獲されて殺されてしまいます。」

 

ドッグ・セラピストの忙しい1日

この本にドッグ・セラピストをマコが1日体験をして取材したことも書かれています。

私の中のセラピードッグのイメージは、
高齢者施設、病院などに犬が訪問して、人への愛情で、心を癒したり、リハビリに寄り添うイメージでしたが、
この本で紹介されているドッグ・セラピストはペットショップから会社に犬を斡旋するというビジネス臭プンプンするものでした。

最近は、飼い主が一緒に出勤する会社もあるとよくニュースになっていたりします。
私が前に勤めていた会社でも社長が犬を連れてきていました。

確かに会社に動物がいると動物好きな人は和みます。

この本が出版されたのは1999年、今でもこんな酷いサービスがあるのか検索して見ましたが、みつかりませんでした。
今でもあるのでしょうか?

マコは、このペットショップのオーナーを一目見ただけで、好感を抱けなかったそうです。

犬や猫、他の動物は、私たちを癒してくれます。

マコも助手(飼い主)のストレスを癒しているようで、こんな風に書かれています。

『ストレスについて私ほど精通している犬はいないだろう。
それは、我が家のなかに、悪臭を放つ巨大な泡がバブルのように漂っている。
そのために、家全体が耐えられないような悪臭を放つようになる。

そんなときにこそ、私が治療師として力が発揮するのだ。
マスティが私を抱きしめて、自分のほうに強く引き寄せて、私の名を繰り返して囁くように唱える。私たちは、互いに相手の目をじっと覗き込む。それで、すべてが解決するのだ。

瞳がすべてを語るのだ。
そのうちに、ストレスの泡がしぼんでいくのがわかる。悪臭を放つ気泡が消えていくのだ。

しかし、私たちがあまりにも強い絆によって結ばれているために、マスティが背負い込んでいる凝りのような緊張感が、私に乗り移ってしまう。これは重荷を分けて担う約束からくるものだ。私はマスティの不安を吸収することになるが、私のはらわたのなかにたまる細かい骨片のように、重く感じられる。

そのために、私は張りつめ、いらだちやすくなる。いずれにせよ、マスティのストレス解消に手を貸すことは、疲労こんばいさせられる。私のなかから力が抜けていって、ときにいらだち、寝つけない夜をもたらすのだ。』

犬は、特に飼い主のストレスを受けやすいと思います。
ストレスケアについてはまた改めて書きます。

 

ゴミ箱から日本がわかる

不況というのは、悪いことばかりではない、まず空気がきれいなる。ゴミが減る。人々が浪費を慎む。

不況によって犬がどのような影響を受けているのか取材をしています。

不況によって捨て犬の数が増える。猫もそうだけど、犬の方がより食べるから出費が大きいから捨てるそうです。

この本の頃は、戦後初めての不況だそうで、今もコロナ禍で同じ状況。

そして、自粛期間でペットを飼い始めた人がしつけができない、排便するなどの理由で捨てている人も多いですよね。

 

丸山ワクチン

丸山ワクチンの許可がなかなおりないという話は有名。

臨床テストの試薬として患者に投与することを許しましたが、治療薬としての許可をすることを、まだ十分な試験をえていないことを理由に拒んでいます。

20年間 33万人以上の患者に投与されてそのデータも提出されていても拒む厚生省。

1991年にやっとがん治療薬として許可しました。それでも放射線治療とともに投与することができるそうです。

なぜ、そんなに役に立つのに、役人たちが許可するのを怠っているのは、大手の製薬会社が丸山ワクチンがよく効くうえに、価格が安いので、強く反対しているそうです。

菅元厚生大臣が調査を命じても、省内で多くのデータが秘密の部屋に隠されたそうです。一部の役人が丸山ワクチンが大きな効果があるという臨床データを故意に隠匿していたそうです。

丸山ワクチンを締め出そうとしたのは、エイズウィルスによって汚染された非加熱血液製剤をめぐる事件と同じと本に書かれていました。

なぜ、役人たちが危険を承知しながら、この血液製剤の使用を止めなかったのか・・・

それは、ミドリ十字という製薬会社が、加熱されていないタイプの血液製剤のストックを大量に抱えていたから、安全な加熱されている血液製剤の輸入を認めようとしなかった。

役人たちは、国民よりも製薬会社の利益を守る方が大切だと思った。
その根に天下りの問題があります。
事務次官が大手の製薬会社に就職している例は多いそうです。

ここを読んで、今のコロナ禍の状態に似ていると思いました。

ネット上ではコロナに効果があるとされている薬のことが話題になっていてもテレビでは放送されなかったり。

ネットの投稿がすべて正しいとは思いませんが、新薬を開発するよりも検証してもいいのではないのかと個人的に思っていました。

このコロナで役人は国民の命よりも製薬会社の利益が大切なのは昔も今も変わらないですね。

 

犬の革の三味線

この本でビックリしたのが、三味線の話。

もちろん猫の革を使った三味線も私自身は反対ですが、

初心者用の三味線は、アジア諸国から輸入した犬の革を使っているそうです。

 

著者紹介

マコ(Mako

1991年、静岡県南伊豆町に生まれる。

薄いマロン色の体毛で、ビーグルと芝犬の混血。

上京してから「ザ・タイムズ」東京支局に入社して、ドッグ・レポーターとなり、多くのスクープ記事を「ザ・タイムズ」に掲載している。

ロバート・ワイマント(Robert Whymant)

1952年、英国に生まれる。

英紙「ザ・タイムズ」東京支局長。

ケンブリッジ大学卒業。言語学と東洋学を専攻。

BBC放送ライター、英「ガーディアン」「デイリーテレグラフ」各紙アジア特派員を経て、「ザ・タイムズ」に。

早稲田大学で講師も務めている。

マコは”マスティと呼んでいる。

著者に「ゾルゲ 引き裂かれたスパイ」(新潮社)がある。

 

本の感想

この本が書かれていたのは1999

この本を手に取ったのもかなり昔ですが、読んだのは最近です。

今のこの時期にかなりリンクすることがあるので今読むためだったのかなとも思いました。

殺処分はかなりの数が減少していますが、捨てられている頭数や

犬の立場などはあまり変わっていない気がします。

犬と一緒の取材は日本だと大変だと思うけど、犬、イギリス人という目線からの日本を見ているので面白かったです。

でも深く考えさせられる本でした。

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「私は一流新聞の犬記者(ドッグ・レポーター) マコ ロバート・ワイマントを読んで” に対して1件のコメントがあります。

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